電気主任技術者資格は、非常に難易度が高い資格であるとよく聞きます。
今回のお話は、途中まで読んでやめてしまうと誤解をされて、「電験はやっぱりむずかしいのだなぁ」とネガティブに終わる可能性があります。(笑) そうではない話をしたいのです。
だから、興味をもたれた方は最後までおつきあいください。最後まで読む自信がない方は、どうかご遠慮ください。
では、もう一度。
電験三種資格は、非常に難易度が高い資格であるとよく聞きます。
平成25年度 電験三種試験の合格率は、次の通りです。
●電験三種試験
受験者数 49,575
合格者数 4,311
合格率 8.7%
科目合格率
理論 10.8%
電力 9.0%
機械 11.3%
法規 11.3%
全体 25.0% (どれかに科目合格している)
数字だけみると、確かにきびしいですね。
では、IT系の資格はどうなのでしょうか?
「IT系資格はジャンルが違うのではないか」と思われるでしょ?
でもここでは、同じ経済産業省所管の情報処理試験でみてみることにしましょう。
●基本情報技術者試験
受験者数 46,416
合格者数 10,674
合格率 23.0%
●応用情報技術者試験
受験者数 33,153
合格者数 6,354
合格率 19.2%
●情報セキュリティスペシャリスト試験
受験者数 19,013
合格者数 2,490
合格率 13.1%
●データベーススペシャリスト試験
受験者数 11,342
合格者数 1,845
合格率 16.3%
●エンベデッドシステムスペシャリスト試験
受験者数 3,801
合格者数 646
合格率 17.0%
●プロジェクトマネージャ試験
受験者数 11,850
合格者数 1,485
合格率 12.5%
●システム監査技術者試験
受験者数 3,053
合格者数 431
合格率 14.1%
これは、25年度春期試験のデータです。プロジェクトマネージャ試験、エンベデッドシステム、データベースなどは、高度情報技術者のジャンルに入ります。
合格率の数字だけを比較すると電気主任技術者試験の方が、難易度が高いのではないだろうか?
と思ってしまいますね。
しかし、不思議なことがあります。
基本情報技術者試験、応用情報技術者試験あたりと高度情報技術者にあたる試験の合格率に着目してください。高度情報技術者資格の合格者は、人数が少なくなるものの、合格率はどれも15%前後です。
一方、電気主任技術者試験の上位資格は下記の通りです。人数も少なくなりますが、合格率は格段に下がります。
●電験二種試験
受験者数 9,315
合格者数 282
合格率 3.0%
●電験一種試験
受験者数 2,199
合格者数 96
合格率 4.3%
これは一体どういうことなのでしょうか?
情報処理技術者試験の方が上位資格に対して、難易度をおまけしているのでしょうか?
そんなことはないと思いますが。
実は、(株)翔泳社という会社 ((株)翔泳社アカデミーは翔泳社の電気技術者教育専門の子会社です) は、IT系の資格については、国家試験である情報処理試験をはじめ、MPC(マイクロソフト)、オラクルマスター(オラクル社)、シスコプレス(シスコ社)、ドットコムマスター(NTT)などのベンダー資格を含めて、ほとんどの資格対策書を刊行している会社です。また、電験と電気工事士。電気の資格対策書ももちろん刊行しています。そこに在籍している私たちの視点で感じていることをお話します。
話を戻します。
このIT系資格は合格率がそんなに厳しくなっていないのに、電気資格である電験は厳しい。
この違い。やっぱり、電験は特別なのでしょうか?
実は、IT系の資格取得を目指す方と、電験(電気主任技術者)の資格を目指す方の環境の違いが大きいということに原因があると考えられます。
IT系の会社 ハードメーカ、ソフトメーカ、システムインテグレーションなどの会社では、常に仕事そのものが試験の課題そのものになっているケースがとても多いものです。会社によっては、新卒で内定が出ると
入社までに(または入社直後の秋)「基本情報技術者」を取得することを必須とする場合もあるようです。
常に最新の技術を習得していかないと生きていけない業界です。
一方、電験はどうでしょうか?
電力会社などの受験者もたくさんいますが、ビル管理・施設管理、電気工事関係会社、あらゆる製造業(特に工場)などの方ですね。自分の現場での仕事には従事しますが、原則資格がないと電験資格の仕事はできないし、「現場の仕事」と「お勉強」はちょっと違うのではないでしょうか?
電験資格の合格率のきびしさは、ここにあるのではないでしょうか?
電験資格を受ける方が常にお勉強しないと仕事にならないとしたら、実はこんなことないかもしれませんよ。まして電気については、ITと違って、昔から不変です。まさかオームの法則が10年前と変わるはずないですし。(法規は若干変わりますけど)
もうひとつ着目してほしいことがあります。
電験の資格やIT系の資格(特に高度技術)は、自分自身が勉強しないと「合格のテクニック」では克服できない資格です。”どちらかが難易度が高い”ということはないかもしれません。(比較すること自体ナンセンスではありますけど)
こういう資格は、社労士、税理士、行政書士、司法書士などが近いでしょうか?
それとは対照的なのが、衛生管理士、危険物取扱主任者、工事担任者、宅地建物取扱主任者などでしょうか?合格率も高い。電気の資格でも電気工事士もこれにあたります。これらの資格取得のポイントは、過去問題を覚えると比較的簡単に突破できることなのです。「ある一定のことを覚えていればよいですよ」という資格なのです。乱暴に表現すると「ポイントを覚えてしまえば、なんとかなる資格」といえそうです。
電験の資格やIT系の資格(特に高度技術)は、「自分自身で勉強をして理解する資格」ということです。
考えてみてください。さきほど例に出した 社労士、税理士、行政書士、司法書士をわずか10日から15日の講習会に参加をしたり、予想問題集や過去問を適当にやって合格する方はほぼいないでしょう。みなさん、しっかりと勉強していることは、想像できますよね。また、電験の資格は、IT系の資格のように仕事そのものが勉強に近いものでもありませんよね。
翔泳社アカデミーの講座は、たくさんの受講生がいます。みなさん、資料請求された時によく「これで合格できますか?」という質問を頂きます。私たちは、「電験に予想問題はありません。○○さんが資格の特性を理解して、ご自分自身のペースで”勉強をされない”といけません。○○さんは、お仕事されているでしょうから、どのくらいの時間は勉強できそうですか?その手助けには私どもの講座がおすすめですよ。」というお話しをとりかわしています。その上で受講された方がたくさんいらっしゃるのです。
試験の予想問題など電験にはありません。誰でも知れば合格できる傾向などありません。傾向分析は、電験を教えられる先生が分析すればほぼ同じです。勉強をしなくてもこれで覚えれば合格できるというものは存在しません。
但し、勉強の効率がよい手法はありますよ。
電験は試験の特性を正しく理解して、最小限必要な勉強をするということが、合格への近道であり、受験される全員にそのチャンスはあるのです。電験は決して、突破できないような資格ではありません。
もうすぐ、試験の申込み受付がはじまります。
悩んでいる方は、今すぐに勉強をはじめましょう。試験の申し込みをしましょう。
「これから合格に間に合うの?」という質問には、「間に合う方もいますけど、それはわかりません。でも、○○さんはすぐにはじめるとよいですよ。その理由は・・・」
続きは、お問い合わせくださいませ。
その他の資格に関しても、下記より確認ができますのでご参考までに!!