電験三種を合格するために試験問題を自力で解けるようになるためには、”読解力“と”想像力“が必要です。今回は、問題を解く過程で”読解力“と”想像力“がどのように作用しているのかを見えるようにしてみました。
事例は小学5年生の数学で学習する「割合・歩合・百分率」です。
[食塩水] × [濃度 %] = [塩の重量] の公式を思い出してください。この数学(算数)の知識だって電験三種には、必要ですよ。
数学が苦手という人も是非辛抱強く読んでください。
まず基本の問題です。
問1 8% の食塩水 300ml の中には食塩は 何g ありますか?
この問題を解くにあたり、押さえるべき前提が4つあります。
(1) 食塩水の重量は、食塩と水それぞれの重量の合計である。
[食塩水の重量] = [食塩の重量] + [水の重量]
(2) 水1ml = 1g である
(3) 8%は百分率なので、計算しやすいように小数で表すと ”0.08″ である。
8% = 0.08
(4) 食塩水の公式で解く → [食塩水の重量] × [濃度 %] = [塩の重量]
この問題を書き換えると、
食塩と水の合計の重さが 300g で食塩の割合は全体の 8% である。では、その食塩は何g であるか?
となります。そして、計算をして答えは次の通り 24gとなります。そうすると…
300g × 8% = g → 300g × 0.08 = 24g 答え 24g
問題を読んだ瞬間に読み解いて、上記の(1)~(4)までを思い浮かべることができたら、OKです。
では次の問題はどうでしょうか?
問2 24g の食塩で 8% の食塩水をつくると、何ml の食塩水ができますか?
この問題を解くにあたり、押さえるべき前提が2つあります。
(1) 食塩水の公式で解く → [食塩水の重量] × [濃度 %] = [塩の重量]
(2) この公式からは、3つが導き出される
a [塩の重量] = [食塩水の重量] × [濃度 %]
b [濃度 %] = [塩の重量] ÷ [食塩水の重量]
c [食塩水の重量] = [塩の重量] ÷ [濃度 %]
食塩水の重量を Χ ml に置き換えます。
a 24g = Χ ml × 0.08
b 0.08 = 24g ÷ Χ ml
c Χ ml = 24g ÷ 0.08 → 24g ÷ 0.08 = 300ml 答え 300ml
問1で読み解いた知識から公式を変化させます。a、b、c の3つ覚えてもよいですけど、1つを覚えて想像力を働かせて変形できれば、覚える公式は1つですよね。
ここでは余談ですが、電験三種の理論「直流回路」で出てくる”オームの法則”があります。電流・電圧の関係を表した公式ですが、みなさん中学2年生の理科で学習します。大人になると「オームの法則はわかるけど?」と言われてしまいます(笑)。
V =I R 電圧 = 電流 × 抵抗
I = V/R 電流 = 電圧 / 抵抗
R = V/I 抵抗 = 電圧 / 電流
これも覚える公式はひとつでよいですよね。あなたは、3つの内どれをイメージしますか?
そして、最後にこの問題を解いてみましょう。3つのステップを踏みますよ。
問3 24g の食塩で 8% の食塩水をつくるのには、何ml の水が必要ですか?
(1) 食塩水のこの公式で食塩水を算出する
→ [食塩水の重量] = [塩の重量] ÷ [濃度 %]
Χ ml = 24g ÷ 0.08 → 24g ÷ 0.08 = 300ml
(2) 食塩水の重量は、食塩と水それぞれの重量の合計である。
[食塩水の重量] = [食塩の重量] + [水の重量]
(3) 問題は「何ccの水」であり、「食塩水の重量」ではないので、食塩水から食塩を差し引く必要がある。
300ml - 24g = 276ml 答え 246ml
問1から問3の順番で出題されると順番に考えやすいですが、いきなり問3が出題されると、一瞬で問題を読解して、想像する、そして学習してきた知識を使うのです。本番の試験なら、いきなり問3が出題されますね。
もし、問1~3までを別々に解き方を暗記していたら、ちょっと違う切り口の問題が出題されたら、アウトです。電験三種の学習は、常に自分で手を動かして、自力で問題を解いていく努力をしてください。
今回の問題をゆっくりと確かめながら、読んで頂いた人なら、電験の試験問題を自力でとけるようになる」ために”読解力”と”想像力”が必要であり、自分で手を動かして問題を解くプロセスが大事であることをご理解して頂けたのではないかと考えます。
翔泳社アカデミーの電験三種通信講座は、独自のカリキュラムで試験問題を解けるようになる学習法を採用しています。
参考:電験三種合格講座の詳しい内容