電気と磁気とには深い関係があります。
磁気は静電気とよく似た性質があり、電流が流れるとその周りに磁界をつくります。
1.磁気のクーロンの法則
磁石は同極同士(NとNまたはSとS)では反発力が、異極(NとS)同士では吸引力が働きます。これは、磁気のクーロン力で、静電気のクーロン力の電荷の正(+)負(-)が、磁極のN極S極に対応しています。
静電気と磁気とで違うのは、電荷は正(或いは負)の単独でも存在しますが、磁極(磁荷)は必ずNとSの対で存在します。棒磁石を半分にまた半分にと切ってもその両端は必ずN極とS極になります。磁極は磁石の先端の一番磁気が強い部分をいいます。
「二つの磁極間に働く力の大きさは、両磁極 の積に比例し磁極間の距離の2乗に反比例する。」
これが磁気に関するクーロンの法則です。
式で表わすとクーロン力(磁気力)の大きさ〔N〕は、真空中では
…… 式①
ただし、は比例定数で、
≒ 〔 ≒ 〕
は真空中における透磁率で、〔H/m〕です。
磁気のクーロンの法則は、真空中(空気中も)では式①で表されますが、磁極の間が真空(空気)でない場合は、
〔N〕…… 式①’
は比透磁率で、真空中・空気中では1、その他の磁性体では1よりかなり大きい値です。
2.磁界の強さ
磁極〔Wb〕(ウェーバ)があるとそのまわりに磁界(磁場)ができます。磁力が働いている空間のことを磁界といいます。これは静電力が働く空間の電界に対応しています。
磁界の強さは、磁界中に1〔Wb〕の磁極をおいたとき、それに働く磁気力(の大きさと向き)で表されます。磁界の強さ〔A/m〕も、電界の強さ〔V/m〕と同じくベクトル量です。
〔A/m〕…… 式② (真空中では)
磁界の強さを表す量記号には、単位には〔A/m〕(アンペア毎メートル)が用いられます。
3.電流のつくる磁界
磁石(磁極)がなくても、電流が流れるとそのまわりに磁界ができます。
「①直線電流による磁界」「②円電流(コイル)による磁界」についてそれぞれ見ていきましょう。
① 直線導体に電流〔A〕が流れるとそのまわりに磁界が円形状にできます。
直線導体から〔m〕はなれた円周上の磁界の強さ〔A/m〕は、アンペアの周回路の法則より、
〔A/m〕…… 式③で求められる。
磁界の方向はアンペアの右ねじの法則により決まります。
アンペアの右ねじの法則とは、電流の流れる向きを右ねじの進む向きに合わせると、右ねじを回す向きと磁界の向きが一致するというものです。(図①)
② コイルに電流〔A〕が流れると内部に磁界が発生します。
半径〔m〕の一巻コイルに電流〔A〕を流したとき、コイルの中心の磁界の強さ〔A/m〕は、ビオ・サバールの法則より
〔A/m〕…… 式④で求められる。(N回巻コイルであればあれば〔A/m〕)
磁界の向きはアンペアの右ねじの法則により決まります。(電流の向きを右ねじを回す向きにとると、ねじの進む向きが磁界の向きになる)(図②)
式③と式④は混同しやすいのですが確実に覚えておきましょう。
「アンペアの周回路の法則」、「ビオ・サバールの法則」は、名前だけ知っていればよいです。